法律事務所では、離婚調停の準備や相続人の確定などのために、戸籍謄本を取り付ける機会が大変多いです。
法律事務所で関係者の戸籍を取る場合、受任事件に必要である、裁判手続きに必要である場合には職務上請求という形で請求することができます。
職務上請求で戸籍謄本と取り付ける際に必要な情報は
- 本籍地
- 筆頭者の氏名
この2点は必須です。
戸籍は本籍地の自治体で取り付けることになるので、本籍地がわからなければ申請先も分かりませんし、戸籍を取得することができません。
筆頭者がわからない、間違っていた場合にも、基本的には発行してもらえません。
現在は運転免許証にも記載されていないため、本人が把握していないなんてこともあります。
今回は、本籍地がわからない場合に、その他の情報から本籍地を調べる方法をまとめます。
住所がわかる場合:住民票を取る
法律事務所では、委任事件に必要な場合は住民票を取得することができます
参考>>住民票記載の住所の探し方
住民票取得の際、本籍地の記載の有無をチェックする欄があるので、ここにチェックを入れておけば、取得した住民票には本籍地と筆頭者が記載されています。
筆頭者までいっぺんにわかりますので、住民票さえ取れれば、戸籍謄本取得に必要な情報がそろいます。
住所がわからない場合
本籍地も住所もわからない場合も中にはあります。
親戚などの情報があれば追うことができますが(後にまとめます)それもわからない場合、とにかく住所を探してみるのが有効です。
参考>>住民票記載の住所の探し方
0からいきなり本籍地を探し出すことはほとんど不可能ですが、住所であればいくらか考えられる方法があります。
弁護士から「とにかく探してみてほしい」旨の指示があった場合、取れる手段を様々使って、当たれれるだけ当たってみましょう。思わぬところから必要な情報にたどり着くことはよくあります。
不動産がある場合:所有者の住所で戸籍を取ってみる
不動産の登記事項証明書には所有者の住所と氏名が記載されています。過去の登記簿謄本(閉鎖謄本など)にも、当時の所有者の住所と氏名が記載されています。
住所と本籍地は同じ人は少なからずいるため、不動産登記に記載されている住所を本籍地として取得してみる、という方法があります。
現在の登記事項証明書であれば、まずは住民票を取得してみるのが有効な手段かなと思いますが、住民票は除票になってしまうと保存期間が短く(5年)取得できない可能性があります。
除票とは
今まで住民票があった場所から、転居や死亡によって住民登録が抹消された場合の住民票のこと。
保存期間は5年と短い
昔の不動産謄本(閉鎖登記簿など)から住所を拾う場合には、本籍地として戸籍や除籍を取り付けてみるという手段はとることができます。
法人関係者の場合:法人登記の役員欄や法人所在地で戸籍を取ってみる
当事者が法人関係者の場合、法人の登記事項証明書に住所の記載があるので、その住所を本籍地として戸籍を取ってみるという手段があります。
上記不動産の場合と同様、現在の登記事項証明であれば住民票から、昔の法人登記などから住所を拾った場合には本籍地として取り付けてみるのが有効だと思います。
何らかの戸籍にたどり着ける確率は高いとは言えませんが、他に取りうる手段がなければ当たるべきです。
過去の本籍地がわかる:戸籍を追う
一般的に戸籍は、出生時には親の戸籍に入り、婚姻で新戸籍が編成されるパターンが多いです。
現在の本籍地や筆頭者がわからない場合にも、旧姓や親の氏名、本籍地がわかる場合にはそこから辿ることができます。
途中、養子縁組や離婚など、様々なことがあった場合にも、戸籍を見れば一つずつ追っていき、現在、または死亡時までたどり着くことが可能です。
親や親戚などの住所や本籍地がわかる場合:戸籍を追う
戸籍というのは連続性があるので、どこかしら関係者のものが取得できれば、目的の人物までずっと追っていくことができます。
親や親戚などの住所や本籍地がわかれば、必要な戸籍まで追って行くことができます。
しかしこの方法にはリスクがあるので、弁護士に相談してからにすべきです。
当事者以外の情報から追っていく場合の注意点
注意点として、取得が必要な当事者以外の人の情報(家族や親戚など)から追っていく手段をとる場合には、弁護士に確認を入れてからにすべきです。
個人情報保護の観点から、必要な当事者以外の情報を取得することにはリスクがあることを忘れないでください。
以前に比べ、個人情報の扱いには各自治体、基本的に厳しくなっています。
自分以外の人から戸籍や住民票の請求があった場合、本人に通知するシステムをとっている自治体もあります。
親や親戚など、当事者以外から戸籍を追っていく場合、当該事件とは無関係な人の情報を経由する可能性があり、個人情報保護の観点から問題になる場合があります。
職務上請求は弁護士の名前で行うものです。法律事務職員では責任が取れません.
本籍地を探すなど、弁護士から指示を受けた場合、今ある情報を確認し、どういった手段が考えられるか、どのくらいの手段まで使うか、他の人の情報を入手する可能性があるかなどを弁護士に伝え、確認して方業務を行うべきだと考えます。
現在の本籍地の住所の調べ方・探し方 まとめ
本籍地の探し方は
- 住民票を取る
- 不動産の登記事項証明書を確認する
- 法人の登記事項証明書を確認する
- 過去の戸籍謄本から追っていく
- 血縁者の戸籍謄本から追っていく
という方法が考えられます。
住民票を取得するのが一番確実ですが、除票になった場合の保存期間の短さがネックになる場合があります。
その他の方法は何があるか、どこまでやるかを弁護士と相談しつつ進めてください。
それでは。