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故人の預金調査|弁護士・相続人による被相続人の銀行口座情報の開示方法と必要書類

相続を扱うことの多い法律事務所では、被相続人(亡くなった方・故人)の銀行口座の情報開示の手続きを行う機会がしばしばあります。

被相続人の銀行口座の情報開示とは、多くは残高証明書の取付け、口座履歴の取付けです。

委任状をいただいて法律事務所で代理人として請求する場合が多いですが、時には依頼者ご本人に手続きをして頂くこともあります。

今回は、相続人による銀行口座情報の開示方法と、必要書類につき、相続人本人が行う場合と、代理人として事務所で行う場合について、それぞれ説明いたします。

目次

故人の預金は、相続人であれば口座情報の開示ができる

口座名義人である被相続人が亡くなると、残された預金は遺産となり、相続の対象となります。その口座にいくらくらいの預金が残っているか、という情報が必要になります。

基本的には口座名義人でなければ口座情報の開示はできません。では、口座名義人が亡くなった場合はどうなるのか。

口座名義人の法定相続人であることが証明できれば、銀行は口座情報の開示に応じてくれます。

この時銀行に提示する情報は「口座名義人の法定相続人である」ということのみで足り、相続人の確定までする必要はありません。

故人の預金口座の有無の確認もできる

相続人の立場で被相続人の口座情報の開示を行う場合、その銀行の○○支店に口座がある、ということまでわかっている場合は、必要資料を揃え、手続きを踏めば残高証明などをスムーズに発行してもらえます。

では、支店名がわからない場合はどうか。さらには、その銀行に預金があるかどうかわからない場合はどうか。

結論から言うと、どちらの場合も銀行は対応してくれます。

支店名がわからなくても、名前と生年月日、住所などで検索し、支店名を開示してくれるので、そのまま残高証明など口座情報開示手続きに進めます。

そもそも口座の有無がわからない場合も、事情を説明し、被相続人の名前と生年月日、住所を伝えることで検索してもらうことで、口座のあり、なしを教えてもらえます。

ただしこの場合、住所や氏名の変更(旧姓など)などの事情によっては、本当はあるはずの口座が見落とされる可能性は否定できません。見落とされた場合、相続人のほうでは確認ができません。

可能性のある住所や氏名を、できるだけ伝えて検索をかけてもらうことが大事です。

故人の預金口座情報開示の方法

一般的な銀行(窓口などがある銀行)口座情報の開示手続きは、基本的に窓口にて行います。一度窓口に行った後、不足資料などについては郵送での送付を認めてくれる場合もありますが、すべてを郵送で済ませられることはほとんどありません。

ネット銀行などはこの限りではありません。

必要書類(後述します)を持って窓口に行き、身分証明などをして、銀行所定の書類に記入して申請します。

必要書類については原本を持ち込む必要があり、何も申し出ないとそのまま返却されない場合があるので、「原本返却を希望する」旨を伝えたほうがいいです。

窓口はどこの支店でも可能

窓口は、口座のある支店でなくても基本的には資料の受け入れ、口座開示手続きの申請は受けつけてもらえます。最寄りの支店を利用すればよいです。

手続き書類に記載する被相続人の情報

手続き書類に記載する被相続人の情報は、一般的には以下の通りです。

持参する必要書類で確認できるものが多いですが、あらかじめ確認しておく方がスムーズです。

  1. 被相続人の生年月日
  2. 被相続人の死亡年月日
  3. 被相続人の住所

口座番号や、支店名などは、わからなければ銀行窓口の方が指示してくださいます。

故人の預金口座情報開示手続きに必要な書類等

被相続人の口座情報開示手続きに必要な書類は、相続人本人が手続きを行う場合と、法律事務所が代理して行う場合では多少異なります。

相続人本人が開示手続きを行う場合

  1. 被相続人の除籍謄本
  2. 相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本等
  3. 相続人の身分証明書(免許証など写真付きのもの)
  4. 相続人の印鑑証明書
  5. 相続人の実印

被相続人の除籍謄本

正確には、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本や除籍謄本等、です。

被相続人の死亡の記載(死亡年月日など)があれば、戸籍謄本でも除籍謄本でも大丈夫です。

相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本等

前述の通り、被相続人の口座開示手続きは相続人であることさえ証明できれば足り、相続人全員の確定までは必要ありません。

  • 被相続人が親の場合:相続人の現在戸籍のみでOK
    →相続人の父母の欄に被相続人の名前があれば、親子であると認められ、子は法定相続人になるから

親子間の相続の場合、提出すべき戸籍は、一般的には相続人の現在戸籍1通で足ります。

  • 被相続人が兄弟姉妹の場合:被相続人と相続人が兄弟であること、被相続人と相続人の両親がともに死亡していること、被相続人に子供がいないこと、がわかるだけの戸籍等が必要
  • 被相続人が叔父や叔母の場合:被相続人と相続人の親(父母のどちらか)が兄弟姉妹であること、被相続人の両親が死亡していること、被相続人に子供がいないこと、被相続人と兄弟姉妹である相続人の親が死亡していること、がわかるだけの戸籍が必要

兄弟相続、兄弟の代襲相続が発生している場合には、相続人と被相続人の関係がやや複雑になるため必要な戸籍はだいぶ増えます。

相続人の身分証明書

銀行窓口などで提出を求められる事の多い一般的な身分証明書(免許証など)が必要です

相続人の印鑑証明書・実印

被相続人の口座開示手続き書類はは相続人の実印で作成するため、印鑑証明書と実印を持参する必要があります。

法律事務所(弁護士)が代理して手続きを行う場合

法律事務所で代理して口座開示手続きを行う場合、弁護士本人が窓口に行くより、事務職員が銀行で手続する場合のほうが多いと思います。

その場合に必要な書類は以下の通りです。

  1. 被相続人の除籍謄本
  2. 相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本等
  3. 相続人の印鑑証明書
  4. 相続人の実印の押印のある弁護士宛て委任状
  5. 弁護士の印鑑証明書(弁護士会発行のものでOK)
  6. 弁護士の職印(登録印)の押印のある事務職員宛て委任状
  7. 弁護士の職印(登録印)
  8. 窓口へ行く事務職員の身分証明書

相続人の除籍謄本・相続人と被相続人の関係がわかる戸籍謄本等

前述の相続人本人が手続きを行う場合と同様です。

相続人の実印の押印のある弁護士宛て委任状・相続人の印鑑証明書

法律事務所で代理して手続きをする場合、相続人には弁護士宛ての委任状を作成していただく必要があります。この時、印鑑は実印でなければなりません。

確かに実印であるという証明のために、相続人の印鑑証明書も必要です。

一般的な訴訟委任状(認め印でOK)とは違うため、注意が必要です

弁護士の職印(登録印)の押印のある事務職員宛て委任状・弁護士の印鑑証明書・職印(登録印)

事務職員が手続きをするためには、相続人から事務職員まで、委任関係が連続しなければなりません。

よって、弁護士から事務職員宛の委任状が必要になります。

このときも、使用する職印は登録印でなければならず、弁護士会発行の印鑑証明書を添付します。

銀行窓口で手続きをする際には、登録印を持参して申請用紙に押印します。

窓口に行く事務職員の身分証明書

事務職員が窓口で手続きをする際には、身分証明書の提示が求められます。

免許証など一般的な身分証明書で足ります。

弁護士会発行の事務職員の身分証明書でもOKです。

弁護士・相続人による故人の銀行預金口座情報の開示方法と必要書類等 まとめ

今回は、被相続人の銀行口座の開示方法、必要書類についてまとめました。

ポイントは

  • 戸籍等は、相続人と被相続人の関係性が分かるもので足りる
  • 使用する印鑑は実印、弁護士の登録印、それぞれ印鑑証明書の添付が必要
  • 銀行の窓口に持ち込まねばならないが、支店はどこでもOK

特に、法律事務所で開示手続きを行う場合、相続人である依頼者からの委任状は実印での作成でなければならない点が重要です。

一般的な訴訟委任状とは違うので、要注意です。

それでは!

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