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擬制陳述について(地方裁判所における民事裁判の場合)

法律事務所でよく使いますが、一般的にはききなれない言葉に「擬制陳述」というのがあります。

擬制陳述とは何か、弁護士から「第1回目は擬陳で」などと指示された場合はどうするか、今回は地方裁判所での民事裁判についてまとめます。

目次

擬制陳述とは?読み方は?

擬制陳述とは、民事裁判で使う言葉です。

ぎせいちんじゅつ」と読みます

擬陳(ぎちん)」と略されたりもします。

一般的に、被告側で使う制度です。

被告が第1回目の期日に出頭しなくとも、答弁書が提出されていれば、答弁書に書かれている内容を主張したとみなされる…つまり被告は第1回目の期日は出なくても大丈夫、ということです。

原告から訴状が提出されると、裁判所は原告と相談して第1回目の期日を決定し、被告に訴状を送達します。

被告にとっては、いきなり訴状が届いたと思ったら第1回目の裁判の日程まで勝手に決められているわけで、さすがに都合がつかない…という可能性は多いです。

なので、期日に先立って答弁書を提出し、「第1回目は擬制陳述」と裁判所に伝えておくことで、第1回目の期日には答弁書の内容が主張されたとみなされ、第2回目期日へと進みます。

擬制陳述は、被告が本人訴訟の場合でも、弁護士が代理人についた場合でも、どちらでも使える制度です。

擬制陳述の知らせ方

第1回目は擬制陳述とする、と決めたら裁判所に知らせる必要があります。

通常、次回期日は、原告・被告・裁判所で決定されますが、擬制陳述の場合、被告がいませんので、期日で決めることができないからです。

擬制陳述の知らせ方は、いくつかあります。

  • 答弁書に直接書き込む
  • 送信書に書き込む
  • 裁判所書記官に口頭で知らせる

ネットで調べると答弁書に書き込むべき、との情報が多いですが、私の事務所では答弁書に書かれていることはほとんどなく、送信書にメモするか、裁判所の書記官に電話で伝えることも多いです。

第1回の期日に被告が欠席することは多く、裁判所の書記官もたいてい来ないのではないか、と考えているようです。

そのため、擬制陳述について特に言及しないまま書面を提出すると、裁判所担当部の書記官から「第1回目期日は出頭しますか?」と連絡が来ることもあります。

擬制陳述についての書き方

擬制陳述について、どのように書面や送信書に書くべきか、については特別な書式はありません。

とにかく「第1回目期日は擬制陳述(出頭しない)」ということが伝わればいいので

答弁書の末尾に、

本書面(答弁書)をもって、擬制陳述とさせて頂きます

こんな感じで書き加えてみたり、

送信書にさらっと

なお、第1回期日は擬制陳述とさせて頂きます

とか伝わるように書いておけば大丈夫です。

擬制陳述について、相手方(原告側)に伝える必要はあるのか?

答弁書末尾に擬制陳述について記載した場合は当然原告に伝わりますが、必ずしも原告に伝えなければいけないかというと、そうではありません。

私は送信書に書いたり、書記官に口頭で伝えることが多いので、原告に積極的に擬制陳述を伝えることはあまりありません。

とにかく、裁判所担当部の書記官に伝わればよく、仮に答弁書提出の段階で伝えなかったとしても、多くの場合は書記官の方から問い合わせしてくれます。

ただ、後述しますが、こちらから原告に伝えなかったとしても、第2回期日の調整がされる関係で、第1回期日の前時点ではたいてい原告には擬制陳述のことは伝わっています。

擬制陳述する場合の、答弁書提出後の流れ

裁判所に擬制陳述する旨を伝えるタイミングは、多くが答弁書提出時、またはその前後が多いです。

擬制陳述を伝える際、単に「擬制陳述とさせて頂きます」と伝える場合もあれば、さらに加えて第2回目期日について、こちらの都合がつく日程を記載する場合もあります。

いずれにせよ、第1回期日を被告が擬制陳述する場合、たいてい裁判所の担当書記官は、第1回期日の前に予め第2回期日の調整に入ります。

原告、被告の都合を担当書記官が確認、裁判所の都合も合わせて調整し、裁判所から第2回期日が指定されます。

このように、電話などで裁判所から期日が指定された場合、期日請書の提出が必要になります。

第2回期日の予定はすでに調整され、予め知らされていることが多いですが、あくまで決定するのは第1回期日のため、第2回期日の期日請書の提出は第1回期日の後になります。

まとめ

擬制陳述について答弁書に書き込むかどうか、あらかじめ予定まで記載して提出するかどうか、その辺りは事務所によっても違うでしょうし、弁護士の裁量もあると思います。

事務職員として覚えておくことは

  • 擬制陳述という制度があること
  • 擬制陳述は答弁書提出と同時または前後に、少なくとも裁判所担当書記官に伝えること
  • 擬制陳述した場合は、裁判所から第2回期日の指定の連絡があり、後ほど期日請書を提出する必要があること

この辺りを把握していれば大丈夫です。

それでは

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